物語は桃畑の中の小さな喫茶店から
地元春日居町は、豊かな自然と温泉に恵まれ、桃を中心とした農業が盛んな小さな町です。そんな中に生まれ育ち「音楽を楽しめる喫茶店をはじめたい」そんな想いを抱いたのは、私の父でした。周囲は「桃畑の中に珈琲屋?ほんなこんしちょし、のうもねぇ。」そう言って止めたそうです。『のうもねぇ』とは甲州弁で無意味や無駄を意味します。そんな周囲の心配をよそに、1982年の冬、父は母と共に喫茶店『ウエストマウンテンヴィレッジ』を開業します。夫婦で営む『桃畑の中の小さな喫茶店』それが当店の始まりです。
アメリカの文化とカントリーミュージックが好きだった父のこだわりと想いが詰まった店舗は、ありがたいことに多くのお客様に愛され、ライブ公演を楽しめる喫茶店として賑わいをみせていきます。そして開業から10年、建物を新たにリニューアルオープンをするまでに至ります。それが、現在の『ウエストマウンテン』の店舗です。
しかし、リニューアルオープンを迎えた翌年、父は病に倒れ、そのまま帰らぬ人となりました。1993年、父が43歳、私は3才の時の出来事でした。そこから二十年余、まだ幼かった私と父の遺した店舗を守るため、母は懸命に店に立ち、父の遺志を今につないでくれました。父が遺し、母につながれたバトンは、今私の手の中に。現在は、カフェレストランという業態に形を変え、応援してくださる皆さまに支えていただきながら、今日に至るまで営業を続けております。この場をお借りしまして、皆さまに心より感謝申し上げます。
お気付きの通り、店名の『ウエストマウンテン』は、私どもの苗字である『西山』をそのまま英語にしたものです。現在、お店に立っているのは今を生きる西山家の家族と、私たちを支えてくれる温かいスタッフたちです。いらっしゃいませ。我が家へようこそおいでくださいました。
店主 西山哲平